マラソン前のカーボローディング&脂肪代謝促進計画

初マラソンまで後2週間ほどとなりました。炭水化物大好きで大食いな僕としては今からカーボローディングが待ち遠しいのですが、カーボローディングすると体重が増えるのでそんなにやらずに、脂肪を効率良く使えるようにした方がいいという考え方もあるようですね。

特にウルトラマラソンやトライアスロンのロングなどでは長時間運動を続けるので、カーボローディングしたところでグリコーゲンは枯渇してしまい、脂肪をちゃんと使えるかどうかがカギになるようです。

カーボローディングについてはSteel City Runnerさんのブログの「カーボローディングの必要性とカーボ摂取目安量」に大変詳しくまとめられていました。勉強になります。

そのブログで引用されていたBenjamin I. Rapoportさんの「Metabolic Factors Limiting Performance in Marathon Runners」や、鍋倉教授の楽しく走ってステップアップ「第59回 速いランナーこそ要注意!? ~運動強度とエネルギー切れ」によれば、運動強度がVO2maxの80%くらいのときには、糖質と脂肪の利用比率は7:3になるようです。

先日27km走って足が動かなくなったので、そのときどれくらい脂肪を使えていたのか、ざっくり考えてみます。

まず消費カロリーですが、27kmでだいたい1550kcal。その前に2kmほど走ってウォーミングアップしているのでプラス100kcal。また基礎代謝で消費したカロリーを150kcalとすると、合計1800kcal。ただ、もうちょっと頑張れたとは思うので、2000kcalまでは走れたということにしておきます(そうでもしないと脂肪の利用率がとんでもなく低いことになるのでw)。

上述のBenjamin I. Rapoportさんの文献によれば、体重70kgの男性が脚の筋肉に蓄えるグリコーゲンの平常時の量が310gでカロリーにすると1250kcal。僕の体重が58kgなので 1250×58÷70 = 1036kcal。肝臓に蓄えられるグリコーゲンは350kcalとしておきます(肝臓の重さによるそうですが、そんなのわかりません)。

走りながら取ったカロリーは、エナジージェル(100kcal)を2本、スポーツドリンクを500mlで、合計で300kcalほどでしょうか。

すると、2000 – (1036 + 350 + 300) = 314kcal を脂肪からまかなったということになります。2000kcalのうち314kcalということは15%ほどしか脂肪を使えてないということに。

かなり雑な見積りなので全然当てにならないですけど、ちょっと低すぎないですか?

オカンアスリートの研究室の「レースの補給戦略、新常識!?糖は摂りすぎてはいけない!」でも同じように糖質と脂肪の利用比率について書いてあったのですが、そこには個人差が大きいとも書いてあります。そしてなにやらクエン酸が脂肪の代謝に良いとか。また、この方はレース中にどこまでなら糖分を取っても血糖値が上がらないか練習で実験してるんですね。すごいなー。

V運動の基礎科学」というPDFにも糖質と脂肪の利用割合のグラフが192ページ目(たぶん教科書の一部でPDF自体はそんなにページはありません)に載っているんですが、そのグラフは細い線ではなく幅のある帯状の線になっています。それだけ個人差があるということなんでしょうね。

そして、VO2maxの80%の運動強度のところで帯状の線の一番脂質の利用率が低いところを読み取るとRQ=0.95くらいで、糖質84%, 脂肪16%ということになっています。そして、最も脂質の利用率が高い場合で30%という値になるようです。最初の2つの文献ではアスリートならトレーニングで脂質の利用率が最大限になっていて当然ということなんですかね。

とにかく、どうやら僕は個人差がある中でも最低の脂肪利用率ということみたいです。炭水化物大好きだからですかね? しばらく低糖質ダイエットで体質を改善しないといけないかもしれません。

どうすれば脂肪の利用率を高くできるのか考えるために、糖代謝と脂肪の代謝についてもうちょっと調べてみました。こちらの文献が参考になりそうです。

糖代謝:「解糖系の調節,およびペントースリン酸回路について
脂肪代謝:「脂肪の代謝とその調節 ―からだのエネルギーバランス―

糖の代謝では解糖系の代謝でグルコースがピルビン酸になり、クエン酸回路に渡されます。一方で脂肪代謝では、まず脂肪細胞内の脂肪がリパーゼの働きで脂肪酸に分解され、アルブミンと結合して血液によって筋肉まで運ばれ、β酸化によってクエン酸回路に渡されます。

つまり、脂肪の利用率を高めるには、解糖系の代謝を抑制するか、リパーゼを活性化して脂肪細胞から脂肪を取り出す量を増やすか、β酸化を活性化させるかをすれば良いということになります。

上記の文献によれば、クエン酸回路の材料となる、クエン酸, ATP, 長鎖脂肪酸といったものが解糖系を抑制するそうです。オカンアスリートさんが言っていたクエン酸がまさにこれですね。ATPは運動が激しくなると減ってしまうし、ATPが減ってADPが増えると解糖系が促進されるようです。だから運動強度が高くなると糖の利用率が高まるんですね。

クエン酸、そう言えば家の中で見たような・・・。

ありました。

妻がダイソーで買っていたようです(シンガポールにもダイソーあるんです)。でもお掃除用www

妻にこれ飲んでもいいかな?と聞いてみましたが、速攻でダメと言われました。成分は99%以上がクエン酸と書かれているのみで、残りどんな不純物が混ざってるかわからないですもんね。やめておきましょう。

今度ドラッグストアに行ったら探してみようと思いますが、無かったらオレンジジュース飲んでおきます。

次にリパーゼですが、上記の文献によればカテコールアミン(ドーパミン, ノルアドレナリン, アドレナリンといったホルモンの総称)によって活性化されるそうです。つまりレースで緊張すれば脂肪の代謝も高まるってことですかね。あとカフェインを摂取してもカテコールアミンが増えるようです(Nakajima整骨院さんのブログより)。

あと、リパーゼによって分解された脂肪酸は疎水性が高く、血液中のアルブミンと結合しなければなりません。アルブミンを増やすには肉を食べるのがよいみたいですね(「アルブミンを上げる食事|肉を食べてアルブミンを上げたグループは死亡リスクが低い!?」より)。

β酸化についてはウィキペディアに詳しく書いてありました。

筋肉に取り込まれた脂肪酸はミトコンドリアの外部にある酵素によって活性化され脂肪酸アシルCoAになるんですが、これがミトコンドリアの内膜を通過するには一時的にカルチニンと結合しないといけないそうです。そして、ウィキペディアのカルチニンの項目によれば、

筋肉中のカルニチンは加齢に伴い減少することが示されており[1]、また摂取源である食肉を摂る機会も一般的に少なくなるため不足しがちになると言われる。また近年、脂質によるエネルギー摂取比率の増えている日本人においては、相対的にカルニチン不足となっている可能性もあり、カルニチンの外部摂取の意義が認められる。

とあるのでカルチニンを摂取するのも効果があるかもしれません。カルチニンはラム肉や牛肉などの赤身の肉に多く含まれるようです。アルブミンの件もあるので、ラムや牛肉を食べるのは脂肪代謝に良さそうですね。

また、「β-酸化系の酵素活性」という記事には

β-酸化活性は、高脂肪食(長鎖脂肪酸)や特殊な脂質化合物(の摂取)によって、増強されます。従って、β-酸化活性は、運動などの訓練で、増強するには、血中の遊離脂肪酸濃度が高くなる空腹時(低血糖時)に行うのが良いと言われます。ダイエットなど、体脂肪を減少させるのが目的なら、運動は、空腹時(低血糖時)に行う方が、β-酸化活性を増強する効果が高まります(ダイエットの為には、空腹時に運動した方が、脂肪燃焼効果が高まります。

とあり、空腹時にトレーニングすることによってβ酸化を活性化させることができるようです。

普段は夜、ごはんを食べた後に走っていたのがよくなかったんですかね。シンガポールマラソンは早朝4:30スタート(1st wave)なので、あと2週間しかないですが、朝早く起きてごはんを食べずにトレーニングしようと思います。

それから、中鎖脂肪酸もいいそうですよ。日清オイリオの「中鎖脂肪酸サロン」によれば、

中鎖脂肪酸を習慣的に摂ることによって、運動中のエネルギー源として「脂質」を利用しやすくなる変化が体内に生じていて、これが終盤、ラストスパートまでの「糖質」温存につながった

と推測できるような実験が紹介されていて、その実験によれば2週間の中鎖脂肪酸の摂取で効果があったということなので、まだ間に合いそうです!

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中鎖脂肪酸はココナッツオイルに多く含まれているそうなので、近所のスーパーでココナッツオイルが売ってたらそれを買うのもいいですね。僕はこれを知ってからコーヒーにスプーン1杯のココナッツオイルを入れて飲むようになりました。

そう言えばタイトルにカーボローディング計画とか書いておきながら、全然カーボローディングの計画になってないですね。脂肪の代謝を増やすのはいいとして、残り2週間でどこまで改善できるかわかりません。27km走った結果からも、しっかりカーボローディングはしておきたいと思います。

42.195kmを走り切るには、残り15.195km走れるだけのグリコーゲンを余計に蓄えておいた方がよいということになります。カロリーにすると1000kcal程度。重量にすると250gのグリコーゲン+750gの水で合計1kg。いつもの体重(58.5kgくらい)に1kg足して59.5kgまで体重を増やせばいいでしょうか。

しかし、筋肉に蓄えられるグリコーゲンはその筋肉でしか利用できないので(解糖系まで進んでクエン酸回路に行かなければ乳酸として他の筋肉に移動することはできますが・・・)、脚以外の筋肉にカーボローディングされることを考えると、さらに1kg増やす必要があります。体重が増えるとパフォーマンスも落ちるので、できれば脚の筋肉だけ選択的にカーボローディングしたいところです。

古典的なカーボローディングの方法なら、筋肉のグリコーゲンを一度枯渇させて、そのリバウンドでグリコーゲンを通常よりも多く蓄えるので、ある程度選択的にカーボローディングできそうです。これなら脚以外の筋肉は+0.5kgくらいで済むでしょうか???

脂肪の代謝を促進すためにも低糖質の食事をして、空腹時にトレーニングをすることにしたので、テーパリングで練習量を減らすとはいえ、脚の筋肉のグリコーゲンを枯渇するところまで持っていけるかなと思います。

ただ、古典的な方法はリスクもあるようなので、あまり極端なことはせずに、無理のない範囲でやろうと思ってます。

計画としては、レース一週間前に90分程度のロング走をしてグリコーゲンを枯渇させ、その後も低糖質の食事を続けて、3日前からカーボローディングするつもりです。食事内容については色々な説があるようなので、適当に気分しだいで食べたいものを食べることにします。

カーボローディングはレースの12時間前には完了させるということなので、当日の朝ごはんはまた別に考えておく必要があります。僕の課題は脂肪の代謝アップなので、カフェインを摂取するためのコーヒー、クエン酸を摂取するためのオレンジやグレープフルーツなどの柑橘系のフルーツ、他にも脂肪代謝によいとされる納豆やキムチ(唐辛子のカプサイシンがいいそうです)、なんかを朝ごはんにしようかと思います。

あと、BCAAも脂肪代謝にいいみたいです(水メディア「脂肪燃焼効果の効率を上げる食事と運動」参照)。レース前のBCAA摂取も忘れないようにしたいと思います(「アミノ酸(BCAA)飲んでますか?」参照)。

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