書籍「ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第3版」

色々なランニングのペースとそのトレーニング効果」で紹介したJack Daniels博士のVDOT Running Calculatorがとても便利だったので、ちゃんと知りたいと思って購入しました。


でもシンガポールだと日本語の書籍はなかなか手に入らないので、実際は原著のKindle版を書いました。Kindle版は英語しかないんですが、かなり平易な文章で書かれているし、後半は種目別の練習メニューが書かれていて定型文の繰り返しなので、英語が得意でない僕でも読み易かったです(読み終えるのにちょっと時間はかかりましたが)。なので英語が苦手ではなくKindleで読みたい人は英語版でもいいかもしれません。その方が安いし。

はじめて読んだランニング本だったので他の書籍とは比較できませんが、勉強になりました。ネットで得られる情報だと、この練習がいいだとかいうたぐいのものばかりで、自分に合った練習方法を考える手助けにはなりにくいんですが、Jack Daniels博士は、ランナーは一人一人違うので、全員一律で同じメニューをこなすのではなく、練習メニューを個人に合わせる必要があるという考えの元にこの本を書いています。

VDOT Running Calculatorはその典型で、これを使えば個人に合った練習のペースを計算できます。本にはVDOTテーブルが載っていて、これを参照しながらペースを決めるんですが、VDOT Calculatorをネットで公開してくれたおかげで、誰もが簡単に自分のペースを計算できるようになって超便利! ありがとうDaniels博士!

それだけでなく、この本ではまず、ランニングやトレーニングの原理原則について説明し、トレーニングの意味を理解できるようにしてくれているので、自分で練習メニューを考えられるようになります。これがこの本の一番の特徴で、「何のためにそのトレーニングをするのか?」と口癖のように問い掛けてきます。

ただ、後半は種目別の練習メニューの組み方が書かれているんですが、この部分は高校や大学で陸上をやっている人向けな感じです。社会人市民ランナーでは真似できない内容なんですが、練習メニューの組み方の参考にはなると思います。

それでも、昨今のマラソンブームを反映してか、フルマラソンの練習については様々なレベルの市民ランナーを考慮した内容になっていました。

あと、Daniels博士はオーバートレーニングを嫌います。休息はトレーニングの一部であり、サボリではない。最大限の負荷で最大の効果を出すより、できるだけ低い負荷で最大の効果を出した方がいい。オーバートレーニングでは怪我のリスクが高まるし、トレーニング効果も十分得られない。というのが博士の主張です。

ついついストイックに自分を追い込んで練習してしまう人、一生懸命練習しているのになかなか成果が出ない人は参考になるんじゃないでしょうか。

Daniels博士は選手(オリンピックのメダリスト)でもあり、コーチでもあり、そして科学者でもあるので、この本は多くの経験と科学的なバックグラウンドの元に書かれているのは確かなのですが、個人的にはもう少し科学的な根拠をもっと知りたかったかなーという物足りなさが残りました。

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